就労してもするよ、老後破綻

子供が自立しなくて、将来が不安だという声は、ご家族からよく聞かれる。

だが、【就労】して久しい元長期ひきこもり当事者の立場から言わせてもらえば、就労しようが自立しようが、将来は不安なままだ。


これから、日本はどんどん縮小して、いまの30代が受給できる年金は間違いなく【お小遣いレベル】の金額となり、かつ受給年齢は上がる。

年金は破綻しない。ただ、限りなくゼロに近く収束していく。

これが、【年金は破綻しない】の正体だ。


いまの30代は、年金+α程度の貯蓄でも餓死しなかった過去の日本が経験していない、超低年金時代に歳を取る。

一連の2,000万円騒動は決して嘘ではない。

むしろ一生何の事故も病気もしない人でなければ、2,000万円で生き延びることは難しい。

すべての年金受給者に、追加で少なくとも千万円単位の貯蓄が絶対不可欠な時代がまもなく来る。


しかし、まずアルバイト収入だけではこの貯蓄は達成できない。

よって、【就労】だけでは将来不安は絶対に解決しない。


では、多くのご家族が望むように正社員として【就職】すれば良いかといえば、雇用が回復した現在であっても、すぐにありつける仕事はほとんど年収300万円前後で、納税して社会保険料を払って、家賃や食費、光熱費を支出すれば、可処分所得はほぼ残らない。


大多数の人は2,000万円どころか、200万円すら、あるいは20万円すら貯めることが難しい。

このギリギリの中で、人によっては結婚や出産、子育てをこなしていかなければならない。

そして、まとまった貯金ができない収入の人というのは、何もひきこもりから社会復帰した人ばかりではない。


高校や大学までなんの躓きもなく、健康に生活して卒業して就職して、その後も全くひきこもりや精神疾患とは無縁に【社会人】として生活してきた人ですら、低年金時代に対応できる貯蓄を築くことは難しい。


ひきこもり状態の人は決してサボったり遊んだりしてきたわけではないが、あえて誤解を恐れず例えを分かりやすくするなら、【アリもキリギリスも大差なく滅ぶ圧倒的な冬】が迫っているのである。

帰ってきたひきこもり

不登校・留年・中退・長期ひきこもりを経て、35歳で準公務員に受かり、二児の父になったはなし。