大企業でのアルバイトのすすめ

就労の第一段階としてアルバイトをする場合は、アルバイト先の仕事が面白そうで興味が持てることが大事です。


最終目標を「生き生きと楽しく働ける正規の仕事に就職する」とするなら、第一段階としてアルバイト先を選ぶときは中途半端に時給が高いことよりも、自分が「興味を持って楽しく長く充実して働くことができるのだ」という体験ができることを優先した方が良いです。


これに加えてアルバイト先を選ぶ際のポイントですが、できれば大企業を志向することをおすすめします。

また、官公庁でのアルバイトも良いです。

筆者はある国の機関でアルバイトをし、結果的にはそこの登用試験に合格して準公務員になりました。

(関連記事→官公庁アルバイトから正規職員登用で準公務員へ


大企業や官公庁を選んだ方がいい理由は、あくまで傾向値ですが、得られるメリットが多いからです。

まず第一に、大企業は特に正社員について、立場や労働環境が安定しています。

そのため、余計な危機感がなく正社員の気持ちにゆとりがあるので、端的に言えばアルバイト従業員に対して優しい傾向があります。

これはひきこもり当事者が就労し、定着するうえで非常に重要です。


逆に、労働環境にゆとりのない職場では人間関係がギスギスし、職場いじめやパワハラが横行しています。

正社員たちの気持ちにゆとりがあると、立場の弱いアルバイト従業員を大事にしようという雰囲気が醸成されます。

正社員がギリギリの状態だと、負の感情がむしろ立場の弱いアルバイトに向いてしまいます。

こういった社会心理学的な傾向は、多くの職場で共通しています。


また、アルバイトに対する態度に加えて、仕事の負担に関する考え方も異なります。


経営が苦しい事業者は、アルバイトに対して「できるだけ少ない時給で、できるだけこき使おう。隙あらば無賃労働もさせよう。責任も負わせよう。」と考えがちです。

逆に、安定している事業者の場合は「アルバイトは低い報酬で来てくれているのだから、できるだけ余計な負担をかけないようにしよう」と考えることが多いです。

私も、現職に繋がったアルバイトでは、とても大事にしてもらいました。

それが、その後の展開の原動力になりました。


常に余裕がなくギスギスしていた前職(正規職員)では、ガバナンスとコンプライアンスが適切ではありませんでした。

誰が何をやるのか明確に割り振られていなかったので、立場の弱い筆者はどんどん仕事を押し付けられ、加えてたびたび暴言を浴びました。

こういった現場では、アルバイトの方にも過大な負担やハラスメントという形で被害が及んでしまうことがあります。

大企業や官公庁ではガバナンスとコンプライアンスが最低限守られていることが多いので、こういった被害に遭う可能性は下がります。

加えて、ガバナンスとコンプライアンスを遵守することは、社会人として正しい働き方です。

ガバナンスとコンプライアンスが守られていない職場で働いていては、悪影響ばかり受けてしまい、社会人として適切な働き方が身に着きません。


中小の事業所の仕事は人の入れ替わり等のために、特に現場での対応が行き当たりばったりになっていることがありますが、大企業や官公庁では仕事の方法やルーチンが適切に蓄積されていることが多く、こういった点は非常に勉強になります。

職場によっては、特定の分野の業務について先進的な取り組み(IT化・RPA・DX等)を行っているところもあり、アルバイトながらそういった取り組みに触れるチャンスがあれば、働いているだけでも自分の仕事観をアップデートすることができます。


アルバイトとして大事にされること、ハラスメントを受けないこと、無理のない定型的な業務を担当できること、場合によっては先進的な取り組みにも触れることができること。

これらのメリットは、中小の事業所や個人事業より、大企業や官公庁でのアルバイトのほうが得られる可能性が高いです。


もちろんすべての大企業のすべてのセクションがこのように恵まれているわけではありませんが、人材を大事にする余裕のない現場でアルバイトをしていては、こういったメリットを享受することはできません。

ぜひ、整った環境での無理のない働き方を経験し、将来の自分の働き方のイメージをつかんでいってください。

帰ってきたひきこもり

不登校・留年・中退・長期ひきこもりを経て、35歳で準公務員に受かり、二児の父になったはなし。