ひきこもりからの脱出経路としては有効なアルバイトですが、構造上は弱い立場の労働者に対する搾取に直結します。
特段の理由がない限り、アルバイトは必要最低限に留め、積極的に正社員・正規職員を狙っていきましょう。
なお、アルバイトをするうえでは、職務への注力はほどほどにし、あまり奉仕しすぎないことが非常に重要です。
ひきこもり経験者の中には元々の自己肯定感が希薄で、アルバイトをするうちに仕事で認められることが命題のように感じられてしまい、過剰に奉仕しすぎてしまう人もいます。
筆者もその傾向が非常に強く、思い起こせばずいぶん不当な目にあったものです。
しかし、そのアルバイト先で「ぜひ正社員になってほしい」と言われるならともかく、「アルバイトとしてもっと活躍してほしい」と言われるようなら、雇主の気持ちや人柄はどうあれ、搾取を助長しているだけですので、やりすぎです。
筆者のアルバイト経験と、正規職員になってアルバイトを雇う側になって知ったこと、感じたことに基づいて、アルバイトをする上での注意点を少し述べておきます。
責任が重い仕事はアルバイトで担当すべきでない
これは本来、完全に正社員・正規職員の仕事です。
アルバイトを雇って任せるべき仕事は、単純作業や定形業務です。
副店長やチームリーダーといった中間管理職をアルバイトに任せる例が散見されますが、マネジメント業務は本来正社員が責任を持ってやるべき業務であり、完全に不適切です。
何かトラブルがあっても責任を取れる権限を与えられていなければ、責任は取れません。
責任が取れない人を責任者にしてはいけないのです。
少し極論めいてしまいますが、例えばアルバイトでありながら副店長を任されたとして、トラブルがあったとき、顧客からのクレーム聴取中であったとしても、定時になったら中断してスタスタと帰るのがアルバイトとしては正解です。
お客様が「おい!まだ話の途中だろ!聞けよ!!」と怒鳴ったとしても、時給が発生しない時間は業務外であるため、クレームを聴取する義務と職権が両方ありません。
もはや副店長ですらなく、店舗と無関係の人物です。
店舗とアルバイトスタッフは、本来そういう関係です。
サービス残業でクレーム対応をしたうえで正社員に代わって本社に報告書を出したり、再発防止策を策定したりするのは、アルバイトの働き方としては誤りです。
後者を強要する職場は労務管理が適切ではないので、辞めるべきです。
職位・職権・職責と待遇には整合性が必要です。
アルバイトの待遇の人に管理職の職責を負わせるというのは、不当な搾取です。
無賃労働をしない
アルバイトであろうと正社員であろうと、いかなる雇用形態であっても、根本的に無賃労働はすべきではありません。
絶対悪です。
実際の仕事では、やむを得ず生じる些末な対応業務等に対して、最低限の無賃労働を行わなくてはならないシーンもありますが、これとて悪です。
必要悪として、ごくごく最低限に留めるべきです。
なお、【業務の準備】は業務です。
理想的には、始業前には業務とは無関係な私用だけをすべきです。
始業前に準備をすべきなら、準備時間にも時給を支払うべきですし、それができないなら勤務時間中に業務の準備をさせるべきです。
勤務時間に先んじて出勤するというのは自主的に励行する単なるマナーであり、業務がこれを前提に成り立ってはいけません。
自爆営業・罰金に応じない
季節商品等の販売ノルマ未達の場合に販売商品の自腹購入を勧奨したり、遅刻等に際して罰金を請求したりすることも、従業員に対する不当な搾取ですので、応じてはいけません。
要求された場合はブラックバイトですので、すぐに辞めるべきです。
店舗物品を自身で購入する場合、正社員の勧奨とは無関係に、自身の任意性にのみ依拠して買わなければなりません。
また、罰金についてですが、懲戒処分の一環としての「減給」という制度はあるものの、没収できる金額の上限は法律で決まっており、超過すれば違法です。
「店に迷惑をかけたから」という名目であれば損賠賠償請求となりますが、有無を言わさず徴収するのはもちろんNGで、本来は内容証明郵便による請求手続開始から示談・調停等を経て決定された金額を支払う、というルートが必要ですし、金額等に納得できない場合は裁判で決定しなければなりません。
大きな責任もなく、過大な負荷もなく、最低賃金程度ながら手軽に給与を得ることができ、かつ、すぐ辞められるのがアルバイトの本来の姿だと思います。
ただし、自分で書いておきながらですが、上記すべてを何の躊躇いもなく実践出来たら、それはそれでちょっとアレかもしれません。
どれもあくまで極論ですが、しかし、正しいことでもあるので、アルバイト先がブラックな素振りを見せたときは参考にしてみてください。
ちなみに筆者は今は正規職員として、アルバイトで来てくださっているスタッフの方に過大な業務や職責が寄っていないか、いつも気をつけるようにしています。
あくまで補佐員としてきていただいている方に重い業務をお任せするのは申し訳ない、というのもありますが、どちらかと言うと重大なことをアルバイトの方に任せっきりにしてしまって、何か大きなインシデントが発生してしまったときに、当人含め誰も責任を負うことができなくなるのを防ぐためです。
諾々と雇用者の言いなりになることなく、得たいメリットを明確化してアルバイトに臨み、就職活動や社会参加の糧にしていただければと思います。
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